最近観た映画の感想です。作品内容の解説とかはありませんが、作り手の角度の感想がちょっと含まれてます。本日はこちら。

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映画『怪物はささやく』観る。現実と空想の間を往来する少年コナーの現実の辛辣さに向き合い成長してゆくまでの児童文学原作のダーク・ファンタジー。

■空想は現実逃避なのか

 主人公コナーの境遇は過酷。学校ではいじめられ、母親はガンの病に侵され、祖母とは犬猿の仲。
彼の空想世界に浸る一瞬は現実逃避にも見えるが、実はクライマックスに向けて、そして迎える結末は物語の上で語られた愛のメッセージ。
そのエンディングを観た時に受ける深い余韻と感動に胸が打たれる。
一見現実逃避に見えるその空想はコナーにとって必要不可欠なもの。

■ダークファンタジーの傑作

 この作品は少年コナーを通して人間の心理描写を巧みに深くえぐりだすようにして描く。
観ているうちにコナーの深層心理に立ち入り、人間が生きていく上での現実世界を客観的かつシニカルな目線で見つめてしまうところはあるが、
奥底に潜むものが観ている我々誰にもその人生に向けられた愛のメッセージであることに気づく。

 多くを語ってしまうとネタバレになってしまうので避けるが、
少年コナーが現実に向かい合う瞬間の「自白」とでもいうべき告白は衝撃でありながらも、我々人間が誰しもどこかで本当は心に秘めている本当の気持ちそのものを語っている。
それは自身に照らし合わせてみれば現実という名の辛辣さであるが、だからこそ物語を描く強い力がここにある。
数あるダークファンタジーの傑作の中の一つであることは間違いない。
本作は我々が人生を生きていくうえでのヒントにもなる作品でもある。 

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では~♪